日本は物質的には豊かな国となり、親はわが子の望みを叶えようと、出来る限りのことをしてやり、与えてきました。
しかしその反面、「与えられる」ことや「してもらう」ことに慣れてしまい、それが「当たり前」になって、望みが叶えられないことに不平不満を抱き、愚痴をこぼす、心の貧しい、自立できない人が増えてきています。
この「心の貧困」から脱するためには、「当たり前」のことが、実は「有り難い」ことだと気づくことが大切なのですが、それは口で言うほど簡単ではありません。
私は先日、『子どもたちが身を乗り出して聞く道徳の話』(致知出版社)という本に出会いました。
その中には、現役の小学校教師・平光雄先生が、絵に描いたり標語を作ったりしながら、「自信」や「勇気」、「友情」等の意味や大切さを子供たちに伝え、日常の行動に結びつくよう努力されている実例が書かれています。
その中から「感謝」について書かれた部分を以下にご紹介します。
今、私たちはここ(●印の部分)にいるんだ。
今、ここにいて、「縦軸の上方向」=「未来」に向かって進んでいるんだけど、いつもこの十字の交差点にいることを忘れてはいけない。
縦軸と横軸を知ると、今、この時代に日本で生活しているということの大きな大きな幸運に気づくはずだ。
「有り難い」ほど恵まれた場所にいるのが私たちだ。
縦軸を下れば、戦争。
横軸にはいっぱいの貧困地帯がある。
その中で、ここにいるということの有り難さ。
決して「当たり前」ではないことばかりなんだ。
毎日三度のご飯が食べられることだって、清潔な服が着られることだって、薬があることだって、爆弾が落ちてこないことだって縦・横を見れば決して「当たり前」のことじゃない。
それは少し勉強すればすぐにわかる。
これだけ「有り難い」中にいて、ちょっとあれが足らない、ちょっと思うようにならない、快適でないからといって不平不満ばかり言うってことがいかに、噴飯物(ふんぱんもの)であるか、いつも自覚してなきゃいけないんだよ。
つまらないことで文句を言いそうになったら、この十字を思い出して、感謝の心を大切にしながら、毎日生活していこう。